【完】ラブ☆パワー全開
頑張って話しかけてはみるものの、
妙な威圧感に負けて黙ってしまい続かない会話。
そんな感じのまま、
とうとう家に着いてしまった。
「あっ、ありがとっ」
「……」
精一杯の笑顔を向けるも、
何も言ってくれない。
やっぱり、怒ってる?
ヤバ……何か泣きそう。
仁の顔が恐いよ。
「仁? あたし……何かしたかなぁ?」
目に涙が溜まって俯いたまま、
仁の顔が見れない。
ねぇ、何か言ってよ?
ぽた……ぽた……
ヤバッ!
そう思ったけど。
我慢しきれず、
目に溜まった涙が地面へと落ち、
乾いたアスファルトに消えて行く。
止めなきゃ……
止まって、涙?
意志とは、反対に溢れる涙。
止まって欲しいと願えば願うほど、溢れ出す。
「綾さん」
「……ん?」
泣いてるのがバレないように俯いたまま、
声だけは精一杯の明るさで答えた。