【完】ラブ☆パワー全開
「ごめん……ヤキモチ妬いた」
「ヤキモチ?」
ふと顔をあげると、
仁が哀しい表情であたしを見つめていた。
この顔、見た事ある。
あ……クリスマスの日だ。
あたしが仁からの告白を断ってしまった日。
「さっきの電話で男の声聞こえたから……ごめん、泣かんといて?」
あたしの頬に手をあて、
親指で涙をすくう。
「待つって言うたのに、ガキでごめんな」
首を横に振る事しか出来ない。
だって、仁を苦しめてるのはあたしでしょう?
あたしが恐がって踏み切れないから。
仁が悪いんじゃないのに。
「明日、仕事やろ?」
「……うん」
「じゃあ、俺帰るな」
あたしの頬から手を離し、
駅へと向かって歩き出す。
「じ、仁!」
呼び止めたのは、あたしなのに。
「さっきのは忘れて! おやすみ」
そう言い残して帰って行ってしまった。