【完】ラブ☆パワー全開
「仁ってバイク乗れたの?」
「うん」
アッサリした答えが返ってきた。
「いつも電車だったよね?」
そう、会う時はいつも電車だったし。
バイク乗ってる姿なんて見た事なかったよ?
「あー……俺、自分の女以外乗せへんから」
うがっ!
なんて甘いセリフ!
今……瞬殺された。
「綾さん? バイク嫌い?」
「ううんっ!」
そんな事ない、あるわけない!
ただ仁の言葉に撃ち抜かれたとは、
絶対言えない。
真っ赤な顔でヘルメットを被り後ろに乗ったら、
クスクス笑ってるのか仁の肩が揺れている。
“自分の女以外乗せへん”
って……かなーり効いた。
サラッと言う仁をまた、
好きになってしまった。
そんな事、言っちゃう人が彼氏?
何度その言葉を思い出しても、
頬が熱くなる。
走り出したバイクの後ろで、
景色なんて見てる余裕もないくらい。
仁の体温。
仁の香り。
もう……それだけで、
いっぱいいっぱいになってしまった。