【完】ラブ☆パワー全開
「しかし人多いね」
仕事帰り、
張り切っていたあたし達の気分が落ちたのは、この人込みのせいもあるけど。
「これで足りるよね?」
「いーんじゃん、適当で」
社内で配る義理チョコの買い出しを押し付けられてしまったからってのが大きい。
女同士ってのは恐いもんで、
どこで誰が見てるかわからない。
あたしと千恵が今日見に行く事を、
どこからか聞きつけた子達からお願いされてしまったんだ。
その分、残業はなくなったけど。
「まぁ、これでホワイトデーに何か貰えると思えば、よしとしよう」
前向きな千恵を笑って見つめていたら、
大事な事を思い出した。
「そういえば、千恵は誰にあげるの?」
そうだよ。
千恵、彼氏いないじゃん。
「決まってるじゃない! お返し金額が高そうな人達に渡すんだよ」
ニヤッと笑う千恵の目付きと、
あまりにも計算している考えが、
ちょっと恐くなってしまった。
「しかし、女子高生多いよね」
「うん」
売り場には、
あたし達と同じように仕事帰りのOLも居るけど。
圧倒的に多いのは10代の若い女の子。
制服の子も少なくはない。