【完】ラブ☆パワー全開
「綾さん、思った事は言うて?」
さっきの人は誰?
そう言われたら、
困るのは仁じゃないの?
「何もないよ?」
「綾さん」
そんな怒った声出さないでよ。
「ん?」
「もう、えぇわ」
溜息混じりに言った仁は、
あたしの手を引き、
路地裏へと歩き出した。
仁のバイクに跨り、
あたしにメットを無理矢理被せると
「仁?」
「乗って?」
いつもみたいな優しい笑顔じゃない。
「へ?」
「えぇから、早よ乗って」
訳がわからないまま、
バイクの後へ跨がった。
それを確認した仁は、
バイクのエンジンをかけ走り出す。
「仁!? どこへ行くの? バイトは?」
大きな声で聞いても、
仁は答えてくれない。
どこへ行くつもりなの?