【完】ラブ☆パワー全開
「あぁ、そういうことか」
お兄さんは、
あたしと仁の間を見てニヤニヤと笑った。
あ、手……。
繋いだままの手を離そうとした瞬間、
握る掌にギュッと仁が力を入れる。
え?
どうしたの、仁。
「仁、声でかいー。って!
あぁぁぁぁぁ!」
キッチンから聞こえた女の人の大きな声。
驚いたあたしが視線を向けた時には、
その人はあたし達に走り寄って来ていて。
繋いだ手をまじまじと見つめ、
ニヤッと笑いながら顔をあげた。
あっ、この人!
さっきカフェに居た人だ。
「美代の方が声でかいわ」
溜息まじりに呟いた仁を無視して、
美代さんの目がキラキラとあたしを見つめていた。
「ねぇ、仁の彼女だよね?」
「そうや。はい、これでえぇやろ?」
あたしが答える前に、
勝手に答えてしまった仁の声だけで不機嫌なのがわかる。
「仁に聞いてないよっ。
あ、あたし美代、宜しくね!」
「あ、柊綾乃です。宜しくお願いします」
サッパリわけのわからないあたしは、つられて挨拶を返す。
「仁の兄の翔(ショウ)でーす」
ソファに座ったお兄さんからも挨拶され、同じように挨拶をした。