【完】ラブ☆パワー全開
「もう行くから」
そう言った仁が、
あたしの腕を掴み立ち上がる。
「えー! ケチ! 綾乃ちゃん今度ゆっくり話そうな!」
美代さんが膨れながらも、
あたしに手を振ってくれて笑顔でその場を離れた。
ぐいぐいと引っ張る仁に、
何も言えないままついて行くだけ。
チラッと見上げた仁の耳が、
何となく赤くて。
もしかして、さっきの言い合い……恥ずかしかったのかな?
なんて思うと、
笑えてきた。
バンッと大きな音を立てて閉まったドア。
仁の部屋へと入って、
やっと掴んだ腕を離してくれた。
「もー、まじで嫌や。あいつ」
「美代さん?」
少し笑って言うあたしに、
頭を抱えてベッドに座り込んだ仁が頷いた。
何か、今日の仁可愛いかも♪
「だから、付き合ってる事隠してたの?」
仁の隣に座り聞いてみた。
「……そう」
なーんだ。
なーんだ。
そうなんだ。
それだけだったんだ。
ホッとしたのと、
おかしいのとでクスクスと笑いが止まらない。