【完】ラブ☆パワー全開
「しかし、仁のお兄ちゃんに彼女いなかったら最高だったのになぁ」
「何で?」
キラッと目を輝かせた千恵が
「決まってるじゃない! 合コンする為だよ!」
と言った瞬間。
聞いた、あたしが馬鹿だったと深く反省した。
千恵の夢は早く結婚する事。
しかもお金持ちが必須条件なのだ。
「大阪のお友達とかでいい人いなのかなぁー。ちょっと綾乃聞いといてよ」
「えー……やだよー」
昨日初めて会って、
しかも仁のお兄ちゃんに
そんな事聞けるわけないじゃん。
「もう使えないなぁ」
って、はぁ!?
「ちょっと千恵っ!」
言い返そうとしたあたしに
「まぁまぁ、落ち着いて」
って、なんで山北さんに止められなきゃ駄目なのよ!
「そうそう。冗談じゃない、落ち着いて」
って、なんで千恵までも!?
本当に冗談が通じないんだから。
ってうどんの汁を飲み干した千恵が軽く笑った。
千恵の冗談は真顔だから伝わりにくいってのよ。