約束【短編】
「(・・行き先、聞けば良かったかな)」
そんなことを全然頭になかった
ただ、「ああ、出掛けるのか」って
そう思っただけだったから、
・・・直ぐに、帰ってくると
思ったから
僕は本を置くと、テーブルの上にあった
携帯を手に取った
カチカチ捜査して、彼女の番号を
表示させる
なんの迷いもなく発信ボタンを押して
耳にあてた
でも、しばらくコール音が
続いても一向に彼女が出る
気配はない
痺れを切らして電源ボタンを押した
・・・電話に出ないのだから、
メールをしたって返ってこないだろう