約束【短編】
誰かに会う約束をしてた
誰かって誰だよ
まさか男?
・・・いやいや、そんなわけない
そんなわけー・・・
『いいえ・・・、何でもありません』
『行ってきます』
彼女の声色を改めて思い出す
あの時は気にしなかったけど、
明らかに沈むような、悲しそうな声だった
《とにかく、まだ帰ってないんだったら
その人と一緒にいるんじゃない?》
「・・・・・」
《ていうか拓哉さん、実羽さんがどこ行くか
とか聞いてないの?》
「・・・いや」