約束【短編】
話しかけられても
話しかけられなくても

私が目の前にいてもいなくても

彼にとってはどうでもいい

そういう事

「・・・・・・」

もう涙さえ出なかった。

私は食器のかたずけを終えると
そのまま中庭に面した縁側にむかった

ストン、と腰を下ろして
ゆっくり空を見上げる。

「わぁ・・・」

万月よりは若干欠けた月が夜空の
真中にぽつん、と浮かんでいる

余計な光が多いからなのか、
星までは見えなかった。

でも、なんていうか・・・、うん

「綺麗」
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