約束【短編】

震える声で彼を呼ぶと、
視界の先で歪む拓哉がもう
片方の手も私の方へ伸ばしてきた


まだ覚醒しないままの私は
抵抗もせずにぼんやりとそれを
眺めた

伸ばされた拓哉の手が私の肩を掴む


頬に添えられた手も
肩へと下りて行った


なに?

と思った途端

泣きそうな顔をした拓哉が
手に力を込めて私の体を引き寄せる
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