約束【短編】

「擦ったら駄目だよ、
 せっかく腫れが引いてきたのに」
その言葉に何か言い返そうとしても
寝ぼけているせいで口が動かない


なす術なく俯くと、拓哉は上半身を
つめて、更に顔を近づけてきた


「・・そんなに寝たくないの?」

はい、と返事をしようとしても
やっぱり最初の「は」が出てこない


仕方なく、こくりと頷いて見せると
拓哉は優しく笑った

どうした笑うの?とやっぱり声が
出ないから拓哉を見つめる

そしたら拓哉はただでさえ目と鼻の先に
あった顔をぐんと、近づけた
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