約束【短編】
私はそんな拓哉の瞳を、ぼんやり
見つめて、そこに私が映ってるのが
本当に本当に嬉しくて
誘われるように瞼を閉じると、
額に彼の前髪が触れた
それから直ぐに、唇に柔らかくて
優しい感触がした
知らぬ間に拓哉の服を握り
締めていた私の手に力が入る
拓哉の唇は私の唇を啄ばむように
幾度か落ちてきて、そんな温かい
仕草にまた涙が滲んだ
・・・色褪せてしまったと
思っていたのに
彼がいる、ただそれだけで私の世界は
また鮮やかに色づいていく