HINEKURE～ヤマトノオロチの巻～

霞が深夜に物音に気がついて目が覚めた。
目の前には優しい笑顔を向ける侫歌がいた。侫歌が
「いけないよ。まだお酒は。ね、霞。」

「侫歌。」

「結界が一段落ついたから、来ちゃった。この姿で会うのも最後だね。」
彩乃と真はグッスリと寝ていた。霞が
「侫歌はヤマトノオロチに戻るの??」

「うん。」

「それでいいの??」

「分かんない。」

「なら、ずっと一緒にいようよ。」

「ごめん。それはできないだ。」
霞が涙ぐむ。近くにいた霞桜が
「侫龍よ。」

「久しぶり。霞桜。何百年ぶりだろうね。」

「侫龍、いいのか。こいつらと敵になっても、」

「仕方ないよ。私達兄弟はずっと一緒にいたから。お願いがあるだけど。」
霞が目尻を抑えて
「何??」
優しく笑って
「これ、あの子に返しといて。」
目の前に龍のアクセサリーが置かれた。
「あと、今までありがとうね、って伝えて、あと、翔龍を止めてって。じゃ～ね、霞。楽しかったよ。」
目の前にいる侫歌が消えていった。
侫歌が消えて、霞が侫歌から受け取ったアクセサリーを持って一人静かな稽古場に行く。稽古場の地面がヒンヤリと冷たかった。