HINEKURE~ヤマトノオロチの巻~
翔龍が侫歌の血に染まった刀を握りながら、
「裏切りには、死ぬだけだ。侫歌。」
霞の悲鳴が上がる。翔龍が刀についた血を払うと倒れていた他のヤマトノオロチから、何か丸い物が出てくる。そして、侫歌からも。丸い物が翔龍の体の中に入る。翔龍が
「懐かしい感情がよみがえる。」

「テメ~、まさか侫歌たちから魂をとったのか??」

「とった??いや、元に戻したのだ。」
それを聞くと優輝がものすごいスピードで翔龍に右手の黒い刀に刀を振り落とす。
それを難なく躱す。
優輝が侫歌を見る。侫歌の体はどんどん砂になっていく。侫歌がかすれた声で
「アハハ、やっぱり無理だった。……ごめんね。……バイバイ。」
と言って侫歌の体がすべて砂になってなくなる。
優輝がその砂を見つめていた。翔龍が
「清明よ。我は人間を滅ぼすと決めた。邪魔をするな。」
優輝が侫歌の砂を見つめたまま
「テメ~はいつまでいじけてんだ。元々テメ~は誰よりも人間を大切にしていたじゃね~か。だから、清明はあの時倒さないで封印したんだ。戻って欲しいために。」

「人間は浅ましい生き物だと感じたのだ。清明よ。邪魔をするなら死ぬがいい。」

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