君の魔法がとける瞬間(とき)


「さぁ。
でも…、俺になにかあった時、佑月は一人になってしまう。そしたら、お前に助けてもらいたい。と、浅香はそう言ってた。
まぁそう言われたのも随分と昔なんだけどね。
でも…あんな事になって…浅香の言葉を思い出したんだ」



お父さん…。
私の知らないところでも、お父さんはいつも私のことを…。
そう考えただけで涙がとまらなかった。



「大丈夫かい?」


そう言って安仁屋さんは、サッとハンカチを差し出してくれた。



「すいませんっ…私、どうしたらいいのか…」




「混乱させてしまったね。キミは今日から、うちに住めばいい。
いや、住んでくれないか?浅香には昔いろいろ世話になってね…
あいつの為に、お願いだ」



「でも……そんな…
できません。ご迷惑をおかけする訳にはいきません…。私は一人で大丈夫ですから」



安仁屋さんの気持ちは有り難いが、そこまでお世話になる訳にはいかない。


「失礼します…」



私は、部屋を出ようと立ち上がる。





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