君の魔法がとける瞬間(とき)



「あぁ…そうだな。そうしてくれ。じゃあな佑月。ちゃんと寝るんだぞ」



ギュッと握られた手は、あっという間に力が抜けて…


その手は私の頭の上に置かれた。




「陽斗さん…?」



「何だ?あぁさっきの話は、また今度な」





そう言って陽斗さんは戻っていった…。


でもその背中は、とても寂しそうで…
私は陽斗さんから目が離せなかった。



「何だよ、悲しそうな顔しやがって。そんなにハルが良かったか?」




「そ!そんなんじゃありません!それに…陽斗さん達に家がバレては困りますから…碧空さんに来ていただいて良かったです!」



「ふぅーん」


と碧空さんは、私の顔を覗き込む。




…ち、近い…………。




反射的に目を逸らしてしまう私。






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