君の魔法がとける瞬間(とき)
「おい、佑月…?
どうしたんだ…?大丈夫か?」
泣き崩れている私に声をかけてくれたのは、陽斗さんだった。
「ひっ……すいませんっ…何でもない…んです…」
「何でもなくないだろ?!なにがあった?
……碧空か?あいつが何かしたか?」
碧空………
その名前を、今聞きたくない。
何も言わない私を…
陽斗さんはそっと…抱きしめる。
「陽…斗さん?」
「お前が泣いてるところなんか、見たくないんだよ」
優しい手は、次第に力を増す。
ギュッと抱きしめられる私は…陽斗さんの手を避ける事が出来ない。
「すいません…。私………り、碧空さん…」
視線の先には碧空さんの姿。
「陽斗さん…ごめんなさい!」
いてもたってもいられず…私は碧空さんから逃げた。
私が泣いてる姿なんて…見られたくなかった。
碧空さんだけには…
苦しくて苦しくて。
私はひたすら走っていた。
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