君の魔法がとける瞬間(とき)
事のきっかけは、
ちょうど半年ほど前。
お父さんの仕事の関係で引っ越しが決まった。
「ごめんな〜佑月。学校を転校しなくちゃならなくなって…」
「いいよ。お父さんのせいじゃないんだし」
「ありがとなぁ…!」
お父さんは、おっきい体で強そうなのに、涙もろい。
そんなお父さんが大好きだった。
私には、お母さんの記憶がほとんどない。
お父さんは聞いてもはぐらかすし…、だからそれ以上は聞けない。
生きてるのかそうでないのかも…分からない。
それでも、私にはお父さんがいればそれでいい、そう思っていた。
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