君の魔法がとける瞬間(とき)


「お前が女だと知って…俺が守るって決めたんだ…。でも、お前が見てる奴は俺じゃなかった…。
知ってたんだ、お前が碧空を好きだってことも。
全部知った上で、俺はお前を好きになったんだ」




申し訳なくて…また涙がこぼれる。



そして私は…何も言えなかった。



「泣くなよ…泣かせるために話したんじゃない。自分が前に進むためだ。困らせて、ごめんな。
お前に言いたくて…でも言えなかった。
今日言えてよかったよ。明日から男友達として…またよろしくな…」



「陽斗さんっ…ごめん…」



「お前が泣くと、俺まで……泣けてくるだろ!お前を抱きしめたくて仕方ないのに…出来ないんだ。
早く…碧空のところに行け。今度は俺が、黄昏れる番だ…」




陽斗さんに背中を押されるように、私は碧空さんのもとに向かった。




気づいたら私は走って走って…とにかく走っていた。





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