君の魔法がとける瞬間(とき)
アイツの魔法
ホテルを出ると、里美さんと理事長が迎えてくれていた。
「佑月ちゃん…!」
私は、思わず里美さんの胸に飛び込んだ。
まるで子供のように…泣きじゃくってしまった。
「今までよく頑張ったね…。碧空を好きになってくれて…ありがとう。あなたが来てからあの子、本当に優しくなったわ」
「あぁ。キミが来てくれてよかった。アメリカに行っても時々顔見せなさい」
私は涙を拭いて、二人を見つめる。
「…はい。でも私はもう…碧空さんたちには…会いません。私のこと…忘れてもらいたいので…」
「そんな悲しいこと言うなよ…」
「何も言わないで出ていくんですもの…私のことなんて、きっと大キライになりますよ…皆さん。理事長、私を空港へ連れていってもらえませんか?」
私は最後まで、皆さんに嘘つきっぱなしでしたね。
こんな私を…キライになって。最低だと、罵って下さい…。
「本当にいいの?あの子たちとお別れしなくても」
「はい。最後にいい思い出が作れてよかった…」
私は、二人の心配をよそに…空港へと向かった。
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