〖短編〗 霧のなか
「――…で、1853年に…」
いつもの昼下がり。
退屈な退屈な日本史の授業。
一生懸命しゃべってるおじさん先生も
隣の席の子と楽しそうにおしゃべりしてる女の子も
全部興味なくって
アタシはひとり、窓の外を眺めながら
夏のにおいを感じていた。
窓の外のグラウンドではサッカーをしている
2年生の――同学年の男子。
おなじ高2とは思えないくらいに
素早く動いて
ボールを追ってゆく。
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