言ノ葉。
息が止まった。
比喩ではなく、本当の本当に。



息が止まり、心臓が大きく動き、
頭は言葉を理解できない。


「児玉のロッカー、物多くね?
と思って覗いたら――――」


「同じ教科書ばっかで、あれって
思って名前見たら――――」


「盗まれてた奴で――――」



・・僕じゃ、な、い。 僕はロッカーに
何も入れないタチだし、僕も教科書


盗まれた被害者側なんだよ? 誰かが僕に
罪被せた、濡れ衣としか思えないよ。



そう、思った。 往来無口だった僕は、
こんな時でさえ声に出さず心で思う
だけだった。

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