ゆびきり
さすがに、梨由も戸惑いながら運転席から後ろを振り返る。








「な、何?どうしたいの?」







いつもの梨由の話し方に戻ってる。







詠士は、だるそうに外を見ながら、


「家まで送れよ」と、言った。








あれ?でも、今日は帰らないんじゃ…








「用事は大丈夫なの?」







私は恐る恐る聞いてみたい。







「メールしとくから平気、あんまり乗り気じゃなかったからさ」







詠士は少しだけ笑みを見せて、ケータイをとりだす。






良かった。






ちゃんと、家に帰ってくれるんだね。








「了解」







梨由も落ち着いて、車を走らせた。







でも、やっぱり気持ちは複雑だよ。






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