ゆびきり
「あいつが書く歌詞は、龍の想い出ばかりだな…」







そういって、悲しく微笑んだ。







「詠士…」






そんな顔、しないでよ。







「昨日、久しぶりに梨由と話してさ、ずっと謎だったことも解って、よかったけどさ…」








詠士は歌詞をじっと見つめながら、言葉を続けた。








「俺だって、あいつがいない間、どれだけ他の奴を好きになれたらと思ったか…」







詠士の表情に、悲しさと悔しさを感じる。








〜どれだけ、他の奴を好きになれたら〜








詠士の口から聞きたくなかった言葉…







「詠士は、まだ梨由を…」







聞きたくないのに、自分でも何故か続きを問いかけてしまう。







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