ゆびきり
その頃、詠士は一人、イヤホンでMISAの曲を聴いていた。







さりげなく、私の部屋から持っていった日本語の歌詞カードを見つめながら。







「まだ好きか…」







梨由は詠士を本気で愛したことはあるのかな?







「突然、消えたら、突然また戻ってきて…勝手な女だよ、お前は…」







梨由のジャケットの写真を見つめて、呟く詠士は、辛そうに自分の髪をぐしゃっと握る。








止まっていたはずの






歯車が動き出す。






そして、再会した者たちは、逃げていた現実の壁に再び壊すまで向き合うしかないのだ。







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