ゆびきり
そんな梨由の反応を見て、詠士はまた少し苛立った話し方で強く言った。








「詩織ちゃんが大変なんだろ?お前がしっかりしなきゃどうするんだよ!」








その言葉に、梨由はようやく冷静さを少し取り戻した。







「そっ…そうだよね…」








梨由は深呼吸をすると、涙を拭き、詠士の目をじっと見つめた。







「総合病院にお願いします」








梨由は深く頭を下げた。








総合病院という、ワードを出され、私の嫌な嫉妬も一瞬にして消されていった。








その代わりに、鳥肌が立つほどの不安が私にも過る。







「行こう」







詠士は私の目を真剣に、見て言った。







それに、私は答えるように強く頷いた。







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