ゆびきり
そう言われれば、そうだ。







光哉はいたけど、旦那さんは見ていない。







そんな詠士の言葉に、ばつが悪そうにうつむく。







「ちょっと、外でよ」







梨由は立ち上がって、部屋を出だ。







私と詠士もそれに続くように、病室を出る。








張り詰めた空気が流れる。







梨由は、一息ついて、詠士に向き直った。









「旦那には連絡してないよ。詩織とだって、年に数回しか会わないもん」







その言葉を聞き、詠士は少し怒りをあらわにした。







「お前、いくら会ってなくても順番があるだろ?詩織ちゃんの父親なんだから」







間違いない。
いきなり、詠士を頼るなんて…







さっきまで忘れていた、嫉妬と怒りが私の中で入り乱れる。








< 168 / 309 >

この作品をシェア

pagetop