ゆびきり
詠士に言われた梨由は、詠士を睨み付ける。







「あの人なんか関係ない!」







梨由は声を荒立てる。







「何、逆ギレしてるんだよ」







強気できた梨由に、引けをとらない口調で詠士も言った。








「何も知らないくせに!詩織は詠士の子だもんっ!…………あっ…」








梨由は自分で言ってしまった言葉に気付き、押さえる。








でも、もう遅いよ。








詠士も私も、梨由の口からはっきり言われた言葉を聞いてしまった。








本当は知っていた事実を、改めてしっかり聞くと、心に穴が空いたように苦しくなった。









それを、詠士が聞いてしまった…








詠士には、知ってほしくなかった…







とられたくないってわかっているのに、どうして、そんな大切な真実を詠士にはなしてしまうの?





今の私には梨由に対して、敵意しかなかった。


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