ゆびきり
「お…俺の…子…?」








詠士はさっきまでの気迫がなくなり、茫然と梨由を見つめた。








梨由は詠士から視線を外す。








「ごめん…」








そう、小さく呟く。







その言葉の意味を、私は解らない。








何に対しての『ごめん』なの?








「お前…なんで、いつもいつも…俺は当事者なのに!なんでいつも、お前が全部決断してんだよ!!」







詠士は病院だということを忘れ、梨由を怒鳴り付けた。







その声に、光哉が現れ、間に入る。








「ここ、病院だよ?話し合いなら家でしたら?」








呆れたように、梨由にそう言った。








「ごめん…」







光哉は全て知っているのだろうか。








自分の兄の嫁が、違う人の子を育てていることを…









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