ゆびきり
話しは全て聞こえていたはず、なのに、冷静な光哉の態度に違和感を感じる。








いつも、アイドルキャラの甘いマスクとは、今は別人のように、冷静で少し冷たく感じた。








まあ、芸能人だし、裏表あるだろうけど








「意味わかんねえ、帰るぞ、日和」








詠士は強引に私の手を掴み、二人の横を通る。








そのとき、梨由と目が合ったがすぐにそらされてしまった。








いつもなら、無理にでも微笑み返してくれる梨由なのにね。








でも、私はどこかホッとしていた。








詠士が梨由の話を全て聞いてしまったら…








そしたら、きっと私は詠士の隣には居られなくなる。








汚い考えだよね。








解っている…








でも、悪役でも構わないんだ









詠士の隣に居られるなら







愛されなくても








私は構わない






そんな、考えだけは変わらなかった。






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