ゆびきり
詠士の姿が、三年前の梨由との出逢いとリンクする。







そのせいか、私は、ためらうことなく、自分の小指を詠士の小指に絡めた。







でも、それだけで、恥ずかしくて顔が熱くなる。






「ゆびきりげんまん、嘘ついたら針千本、のーます指切った」







詠士は楽しそうに歌い、小指を離した。







「約束したんだから、ちゃんとこいよ?まあ、売り付けたりはしないから、安心しろよ」







詠士の一言一言聞くだけで、胸が高鳴ってしまう。







「わ、わかった。じゃあね」






さっきまで、あれだけ一緒に話しをしていたいと思っていたのに、私は、下を向き、走り出していた。







自分の行動が理解不能だ。






どうして?






詠士のこと、何も知らないくせに、三年前の胸の高鳴りが蘇る。







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