ゆびきり
私は、この三年間、恋をしていない。





別に焦ることもなかった。




一人なら、一人でもいいし、無理に恋をすれば、また失敗してしまうだろう。





焦るだけでは、後悔をする部分が多くなる。





自分もちゃんと、人を好きになりたかったし、先輩のときのような、トキメク相手と出会うこともない。






時々、過去を思い出させ、泣けてくるが、そんなときには、梨由の作詞した曲を聴いていた。






梨由は、不思議なほど、私の心を歌詞にして表してくれる。






離れているのに、いつでも共感できるのは、素敵なことだよね。











だけど、今は違う…






数十分前にはなかったトキメキが、今、私を支配する。







私は、何も知らない彼を好きになったの?







性格も、ろくにわからないのに、突然心に入り込んできた。







人懐っこい笑顔、たとえ、営業でも、私は、そうは思いたくない。







詠士の特別になりたい…







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