ゆびきり
威圧的で、話し合うなんて無理な相手なのだ。それを初めから分かっていたから、ずっと、別れたくても話すだけで億劫で出来なかった。






「どうだった?」





梨由は光哉とミサが待つ、車へ乗り込んだ。二人は梨由を心配そうにみていた。






「分かんない。でも、離婚届は突きつけてきた。捨てられてもまだ予備あるし、待つしかないね」







二人を心配かけまいと、梨由は笑顔をつくって言った。






「でも、兄貴じゃそのままスルーとかありえるし、なんか、策ねらないとな」







血が繋がっていても、ここまで分かち合えない兄弟。そんな妻なんて、もっと彼との付き合い方がわからない。






「でも、世間では梨由が既婚者ってことバレてるし、動くって言ってもどうしたらいいのかな?」






ミサは不安げに呟いた。







確かに、梨由はプライベートをそんなに隠すタイプじゃない。だから、聞かれたら子供の話はいつもしていた。






そのために、あれこれ探るパパラッチが海外にも日本でもいた。







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