ゆびきり
「どうしようかなぁ、もう裁判?」





梨由の諦めた言い方に、ミサはいい考えを思いついたというように手を叩いた。





「ねえ、私たちもうすぐライブじゃない?梨由の好きな人も呼んだら?」






急な発案に、梨由も光哉もその意図が読めないまま、ミサを見つめた。






「呼んでどおするんだよ、バレたら不倫だとか変なことマスコミに書かれるかもよ?」






「もちろん、分かってるよ。でも、遠回しにでも、想いだけ伝えちゃったら?そしたら、副社長も諦めるんじゃない?」







「諦めるっていっても、あの人は私に愛情ない人だよ?」







メリットだけの制約結婚。





梨由はそんな風にしか思っていなかった。





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