ゆびきり
梨由は食べながら、バックからチケットを取り出した。






「皆様をMISAのライブにご招待しようと思って」





梨由は一人一人にチケットを渡した。
日本初、ホールライブのチケット。






「ここ、かなり大きな会場じゃない!いきなり?」






「さすが、今流行りのアーティストは規模が違う」







倫子と真斗は唖然としてチケットを見ていった。







「そのために、全国回ってインストやってるんだよ。流行ってても、お客様ありきの商売ですから、実際こちらからも会いに行って、ここにきてもらうということ」







インストアイベントで全国回ってライブをしているのは、ニュースでもみたことがあった。たまには握手トークのイベントやら、何かと忙しいみたいだ。







「あんたも、いろいろわかるようになったのね」






「まあ、私たちは事務所の提案でそういうアピールさせてもらってるだけだけど、本当にそう思ってるんだよ。頑張ってわたしたちのステージ見てほしいって。今回は特別な思いがあるから」






梨由は真剣な表情でいったあと、口元だけ微笑んだ。その表情はどこか決意にも似た情熱を感じた。





「ありがとう、MISAのライブ一回生で歌聞いてみたかったんだ」






私は明るい声でなるべくいった。すると、梨由も笑顔を私に向けてくれる。





「日和に是非生で届けたい!みんなも絶対きてね!詠士もね」






まだ、言葉を発しない詠士にも視線を送りそういうと、詠士も居心地が悪そうに、



「ああ」



と、小さな声で呟くと、梨由の笑顔はさらに輝きを増した。




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