ゆびきり
「ねえ、詠士。梨由のライブ明日じゃん?詠士は行きたい?」





リースから帰り、二人の時間。





いつもは、居心地の良い時間でも、今日はさすがに詠士もいつもと少し様子が違った。





「正直、見るのが怖いよ。素直になるって…あんな、大勢の中でどう素直にあいつはなるのか…」







梨由の宣戦布告。






詠士の心を揺らがせる。





「詠士は、梨由が好きだって知ってる…。梨由が素直になったら、詠士はここを出て行くのかな?」





独り言のように呟いてみたあと、私は何故か涙が溢れ出して来た。





詠士は、慌てて私の隣に座り私を宥めてくれる。





< 271 / 309 >

この作品をシェア

pagetop