ゆびきり
好きだけが特別な感情ではない。






そばにいてほしい気持ちが、恋をしている相手だけとは限らない。





そんな、言葉にできない曖昧さが、自分を苦しめ、相手も縛り付けて苦しめる。






そんな関係が前へ進むことがあるのかも、だれも予想できない。







「明日、ライブ楽しみだね」






私は、これ以上詠士の腕の中にいることは出来ない。






自分から詠士の腕の中から離れた。






「あ、ああ、」






詠士も我に返ったように返事をする。





今すぐに答えを言われるのが、私は怖いだけかもしれない。





意気地なし。





私は自分の部屋にいくと、ベッドに身体を預けそのまま静かに涙を流して眠りについた。




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