ゆびきり
うわ…






昨日の悪夢が脳裏に過る。私は、再び赤面した。







仕事にならないよ…
流れ変えなきゃ








「な、何名様ですか?」







もう、仕事のマニュアルを言うしかない。







「おっと、そうだった。大人二枚で」







詠士も、気を取り直して、答えてくれた。







「三千円になります」







変なの、昨日は私がお客さんだったのに、今日は詠士がお客さんだなんて







詠士は財布からではなく、握りしめていた三千円を私に出した。








「ありがとうございます、楽しんでいってらっしゃいませ」







マニュアル通り、お辞儀をして詠士を見送った。







「日和も仕事、頑張ってな」






その言葉に顔をあげると、詠士はウィンクして去っていった。







私は、詠士の向かう先をじっと追っていた。








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