ゆびきり
終わりくらい笑顔で決めるんだ





いい女になる為に





詠士の中で、いい思い出にする為に。







「詠士こっち来て?」





私が言うと、詠士は近くに来てくれた。






梨由も状況がわからないまま、ただ私と詠士を交互に見ていた。





三人が近くになったところで、私は無理矢理二人の小指に小指を繋げた。






右手には詠士



左手には梨由






「二人も繋いで?」





二人は気まずそうに顔を見合わせながらも、小指を繋ぐ。






「二人は絶対に幸せになること!
ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのーます!ゆびきった!」






私は揺らしながら歌い、勢いよく小指を離した。






「日和…」





「約束だからね!幸せに二人はなるんだよ!」






もうダメだ





これ以上いたら、涙が流れてしまう。






私は急いで店を出ていった。





< 297 / 309 >

この作品をシェア

pagetop