ゆびきり
私は驚き振り向くと、そこには真斗が立っていた。





どこかで、詠士がきてくれたのではと勘違いしてしまう自分が嫌いだ。





「真斗…、なんでここに」





私は急いで涙を手で無造作にふいた。





「泣きそうだったからに決まってんだろ?」





そう言って真斗は優しく支えるように、私を真斗の肩に顔を埋めるように抱きしめてくれた。






「よく、頑張ったな」





そんな真斗の言葉が優しくて、余計涙が止まらなくなってしまった。





「真斗…。でも、辛いよ…」






本当は、つらくて寂しくて仕方ないよ。





私は詠士に選ばれたかった。





特別じゃなくて





恋愛としてみてほしかった。





ピリオドは自分で打つって決めたけど、打ってしまった後に、全く後悔がないわけじゃない。






どこかでまだ、期待してる。






離してから、やっぱりってきて欲しいって思う。





大好きだったんだ。





理由なんてなくても、大好きすぎたんだ。






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