ゆびきり
ますます、詠士に詩の理由を聞きたくなった。







彼女がいて、私には脈なしかもしれない。







でも、やっぱり少しは頑張りたいよ。







これだけは、揺るがない自分の気持ちだから。それに、これだけではない気がする。もっと、惹かれる理由がきっと、詠士と過ごしていたら見えてくるかもしれない。












私は、休憩を終えると、仕事中も今日、詠士に会いに行くことばかり考えていた。







そんな頭でも、慣れのおかげで、仕事には支障ない。








どんな顔で話しかけたら、自然にみえるのかな。








今日の女の人には触れないほうがいいのかな。







自分の中で、自問自答が繰り返される。








そんなことを考えていたら、あっというまに、閉館の時間になった。







詠士も、さすがに帰ったよね。あれから人がたくさん来たため、周りを見ることは出来なかった。







私は、私服に着替えると、緊張しながら、詠士がいる駅へ向かった。







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