ゆびきり
こんな状況になり、私は、引くに引けず、詠士は唖然と私を見つめていたが、ようやく、みんなの注目を浴びていることに気づいた。








「ば…ばか、冗談じゃねーかよ」







詠士は急いで店じまいを始めた。







ようやく、私も冷静になり、茫然と立ち尽くしていると、







「何、突っ立ってるんだよ。手伝えって」







「えっ…、あ、うん…」








理解は出来なかったが、自然と体が動き、手伝いを始めた。







詠士のトランクに全て詰め終わると、詠士は私の手を握り、歩き出した。










手を繋いでる?







どうして、こんなシチュエーションになったのだろう。







少し歩き、人気がなくなったとき、手を繋いだまま、詠士は呟いた。







「さっきは、ごめん…茶化して…」







気にしてて、くれたんだ…








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