ゆびきり
私も、なんだか自分の言動行動が今更恥ずかしくなってきた。








「わ、私こそ、ごめんなさい…」







私が謝ると、突然、店の前で立ち止まった。







「いいよ、まあ、原因は自分だから…特別だぞ?一杯奢ってやるよ」







そういって案内されたのは、地下にある夜カフェと書かれた店だった。







足を踏み入れたことのない、落ち着いた照明に、木で作られた立派なカウンター。 アンティークなテーブルと椅子が三席ほど置かれていた。







カウンターには、女の人が一人たっていた。







「あら、詠士。珍しいわね、女の子にここ教えるなんて」







入り、詠士は慣れたようにカウンターに座った。







「いろいろあってさ、せめてもの罪滅ぼしだよ」







女の人は私に笑顔を向けてくれた。







「いらっしゃい、詠士がなんかしちゃったらしくて、ごめんなさいね」








もしかして、この人が本命ってことなのだろうか。









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