ゆびきり
それから、私は宛もなく歩いていた。






ショックで、泣きたいくらいなのに、涙がでない。








歩いているのに、私はまるで脱け殻のように、心が何処かへ飛んでいった。










気づいたら、私は最寄りの駅まで歩いていた。







夜になり、ストリートミュージシャンや、路上でアクセサリーを売る人など、駅周辺は賑わっていた。









いろんな人から声をかけられるが、私には届かなかった。









「ねぇ、そこのブレザーの制服着てる女の子!」









突然、現実に戻され、女の子の声に振り向いた。








「やっと、気づいた」








その子は、路上で何やら詩を書いて売っていた。









緩くパーマがかかった茶色い髪に、真っ白いコートを来た、可愛らしい女の子だった。








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