ゆびきり
「大丈夫?」





倫子は慌てておしぼりを数枚出してくれた。





私は、急いで立ち上がり、おしぼりでテーブルをふいた。







「何してるんだよ。全く…」






来て早々、私のミスに呆れながら、テーブルを拭くのを手伝ってくれた。







「ごめん、ありがとう…」







ふと、詠士をみると、なんだか今日は疲れた顔をしていた。







「なんか、あったの?」







私は、恐る恐る聞いてみた。







でも、詠士は一言「別に…」と、答えるだけだった。







初めてみる詠士の、疲れたような不安そうな表情。








これ以上何も聞けず、ただ机を拭いていた。







それを、倫子と真斗も顔を合わせ、不思議そうな顔をした。







機嫌が悪い…








それだけでは片付けられない。








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