ゆびきり
現実を受け止める





その辛さで、涙が溢れて止まらない。






悲しいことがあったのに、やっと、泣けた。






我慢なんてしてないのに、きっと、辛い気持ちを押し潰して、無かったことにしたかったんだ。







「私…、辛いことから逃げようとしてた。…今日のこと、なかったことにしたいって思った…話してたら、なんか、実感わいてきちゃった」







泣き崩れる私を、駅の通りすがりの人々は、不思議な顔で見ながら、通り過ぎていく。






そんな、私に梨由は手を差し伸べ、手を握った。







「それだけ、彼が好きだったんだね。無かったことにしたいくらい、離れたくなかったんでしょ?」







梨由の言葉に頷いた。







私は、先輩をまだ好きなのだろうか






あんな、酷いことを言われたのに、あのとき、先輩と会わなければ…






なんて、滑稽なことを考えてしまう。







浮気されたのに、側にいたいと、未だに思ってしまう自分が哀れだ。






でも、初めての恋。
真剣に私も愛されたかった。




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