ゆびきり
そんな梨由をみて、私も自然と微笑む。







そうだ、私はなんで梨由に対立していたんだろう。







梨由は母親で、既婚者だ。







もし、詠士が梨由を想っていても、それは所詮叶わぬ恋に過ぎない。







「こんにちは、詩織ちゃん」







詩織ちゃんは、恥ずかしがって梨由の後ろに隠れてしまった。







「詩織、ちゃんと挨拶しなさい。ママの大切なお友達なんだから」







お友達…







ちゃんと、友達だと思われている。







有名になっても、変わらない梨由を、私はやっぱり、嫌うことはできない。
詠士のことを、過去と張り合おうとしている自分が馬鹿みたいだ。






「親子で、ゆっくり楽しんできてね」







「ありがとう」







梨由は詩織ちゃんの手を引いて、水族館の中へ入って行った。




幸せそうな親子の姿。




その後ろ姿をみて、私は温かい気持ちになった。












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