ゆびきり
「だからか、一緒に帰ったもんね。詠士とどれくらい付き合ってるの?」







付き合ってる…


そこはさすがに、嘘はつけない








「付き合ってないよ…よくわからないけど、詠士が住むって言ったから…」







本当のことを話しているだけなのに、自分の心が締め付けられる。これが、詠士から嘘でも付き合うって言葉を貰えていたら、こんなに苦しい思いにならないのに。







そして、咄嗟に言ってしまったとはいえ、梨由の傷ついた表情を隠す笑顔に罪悪感が生まれる。







「詠士は日和に惚れてるな?」








そういって、明るく私に接してくれる優しい梨由の姿が、辛かった。






私は、一体何がしたいのだろう。
梨由は大切な友達なのに、好きな人をとられる気がして怖くなって、傷つけて







「まだ出逢ってまもないし、詠士は私を恋愛としては、見てくれてないよ…」







梨由が勘違いしないように、事実を話す。







これ以上、傷ついた表情見ていられない、自分の発言に責任を取りきれない、偽善者な自分がすごく嫌だ。







私は、梨由に何を伝えたいのだろう。














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